kintoneの「API連携」とは?活用方法を紹介

公開日:2024/11/15
kintoneの「API連携」とは?活用方法を紹介

APIとは「アプリケーショ・プログラミング・インターフェース」の略であり、異なるアプリケーション同士をつなぐための仕組みです。kintoneのようなクラウドサービスと外部のシステムを連携させ、データのやり取りや機能の共有を可能にします。本記事でkintoneにおけるAPI連携についてくわしくみていきましょう。

kintoneの「API連携」とは

APIはApplication Programming Interfaceの頭文字をとったもので、アプリケーションとプログラムをつなぐものという意味になります。APIの役割をわかりやすく説明すると「クラウドシステム上の住所」のようなものです。

APIでkintoneと外部システムをつなげれば、データのやり取りがスムーズに行われるようになります。これは、kintoneのデータをほかのサービスに渡したり、ほかのサービスのデータをkintoneに取り込んだりすることを可能にします。

API連携は私たちの日常生活でも多く利用されていることはご存じでしょうか。たとえば、Amazonで購入した商品の配送状況を知らせるメッセージはAPIによって実現されています。

また、ECサイトでのクレジットカード決済では、入力した情報がクレジットカード会社に直接送られます。これもAPI連携の一例です。API連携によってできることの幅が広がるだけではなく、あらゆる作業がかんたんでスムーズになります。

しかしAPIを使ったアプリ開発をするには、JavaScriptの基本的な知識やREST APIの基礎的な使い方を知っておく必要があります。

kintoneのAPI連携でできること

API連携で、データを一元管理できたり、データの転記・再入力の手間を省けたりするといったメリットがあります。具体的には以下のようなことが可能になります。

データの一元管理の実現

kintoneは、自社に合った業務アプリを容易に作成できるプラットフォームです。API連携の利用で、異なるシステムのデータをkintoneに集約し、一元管理が可能になります。

これにより、業務全体の見える化が実現し、迅速な意思決定が行いやすくなります。

データの転記・再入力の手間が省ける

たとえば、kintoneとGoogleカレンダーをAPI連携させることで、kintoneの業務アプリに入力したスケジュール情報を自動的にGoogleカレンダーに反映させることができます。

同じデータを異なるシステムに再入力する手間を省けるため、効率的に業務を進めることができます。

作業時間の短縮化と入力精度の向上

API連携により、手動でのデータ転記や入力の必要がなくなるため、作業時間を大幅に短縮できます。

また、人為的なミスも減り、入力精度が向上します。たとえば、顧客情報や取引データなど、正確さが求められるデータの入力において、API連携は非常に有効です。

ほかのシステムからデータを自動取得

外部のシステムからkintoneにデータを自動で取り込むことができます。これで販売管理システムからの売上データを自動でkintoneに取り込み、リアルタイムで売上状況の把握が可能です。

kintoneからデータを外部システムへ送信

kintoneに蓄積されたデータを外部システムに送信することも可能です。たとえば、顧客管理データをマーケティングツールに送信し、キャンペーンのターゲティングに活用ができます。

ワークフローの自動化

業務プロセスを自動化するために、API連携を利用してkintone上でトリガーとなるイベントを設定できます。

特定の条件を満たした場合に、自動で通知を送る仕組みを構築するなど、業務効率化に貢献してくれるでしょう。

kintoneのAPI連携の設定方法

kintoneのAPI連携の設定方法には、おもに「kintoneのカスタマイズ」と「外部連携サービスの活用」の2つの方法があります。

ここでは、2つの設定方法をご紹介します。

連携と開発を行う前に必要な準備

kintoneのAPI連携を利用して開発を始めるには、まず「APIトークンの生成」が必要です。APIトークンとは、外部のプログラムで使用するkintone REST APIの認証に必要になります。kintone スタンダードコースでのみ利用でき、アプリ1つにつき20個まで生成可能です。

APIトークンを取得すれば、REST APIやJavaScript APIを使ってkintoneのデータの登録や、更新や削除も自在になります。APIトークンの生成方法については以下のとおりです。

レコード一覧画面の右上にある歯車のアプリ設定アイコンをクリックし、「設定」タブから「カスタマイズ/サービス連携」>[APIトークン]を選択します。

「生成する」をクリックし、生成されたAPIトークンのアクセス権のチェックボックスを選択します。

必要であれば、各APIトークンのメモを残すことも可能です。メモの「編集する」アイコンをクリックして、担当者や利用目的などを記載しておくと、管理の際に役立ちます。入力後は保存を押し忘れないよう注意してください。

画面右下の[保存]をクリックして、APIトークンの設定を保存します。

確認ダイアログで[アプリを更新]をクリックすれば、保存した設定を運用環境に反映できます。

設定方法1.kintoneのカスタマイズ

kintoneのカスタマイズには「kintone JavaScript API」と「kintone REST API」の2種類があります。これらのAPIを利用することで、kintoneの動作やデータ操作を柔軟に行うことができます。

kintone JavaScript APIは、kintone上の動作や見た目を変更するためのAPIです。フィールドの自動入力、ボタンのクリックイベントの追加、特定の条件にもとづくフィールドの表示・非表示の切り替えなどを行うことができます。

kintone JavaScript APIの利用で、業務の効率化や入力ミスの削減が期待できますが、このAPIを利用するには、JavaScriptのプログラミングスキルが必要です。初心者にとってはやや難易度が高いため、学習のための時間と努力が求められます。

もうひとつは、kintone REST APIは、kintoneに格納されているデータを操作するためのAPIです。条件に一致するレコードを検索して取得したり、新規レコードの登録と既存レコードの更新をしたりなど、これらの操作を行うためには、開発者向けライセンスが必要になります。

API連携の詳細な仕様や公開情報については、kintoneの公式ドキュメントやチュートリアルをチェックしてみましょう。

設定方法2.外部連携サービスの活用

外部連携サービスの活用で、kintoneとほかのサービスを連携させることができます。

たとえば、ZapierやIntegromatといったツールの使用で、以下の外部サービス間でデータを自動的なやり取りが可能です、

・kintone
・Google Sheets
・Slack
・Salesforce

これにより、業務プロセスを一元管理し、効率化を図ることができます。

もしAPI連携で問題が起きたら?

kintoneのAPI連携の際、問題が発生することもあります。問題が発生したらすぐにエラーコードを確認し、どのようなエラーが発生したのかを把握しなければなりません。しかし、エラーコードを確認しても解決できず、どうすればよいかわからないときもあるでしょう。

そんなときはkintone developer networkへの相談がおすすめです。技術者が集まる活発なコミュニティが存在し、プログラミングで悩むことがあれば、ここで質問や相談ができます。

API連携で何ができる?活用事例を紹介!

kintoneのAPI連携は、外部システムとの統合やカスタマイズを可能にし、業務の効率化と精度向上を実現します。

以下に、具体的な活用事例を紹介します。

事例①:Eight Teamとの連携

外部の名刺管理ツールのデータをkintoneに一括登録・更新することで、名刺管理の効率化を図ることができます。Eight Teamは、スマホで名刺を撮影し、デジタル管理ができる法人向けの名刺管理アプリです。

このアプリとkintoneを連携することで、名刺情報をkintoneに自動登録できます。営業担当者は、名刺情報を見込み客として管理し、営業活動に活用できます。情報の重複や漏れを防ぐことも可能です。

さらに、契約が成立した場合、契約内容や売上データをkintoneに紐付けることで、営業の進捗をチーム全体で共有できます。これにより、名刺情報の単なるデジタル化にとどまらず、営業プロセス全体の効率化と可視化を実現できるでしょう。

事例②:配配メールとの連携

「配配メール」は、顧客リストに一斉メールを配信し、開封率やクリック率をトラッキングできるサービスです。kintoneとの連携で、kintone上で管理している顧客に対して一斉メール配信が可能になります。

配信後の顧客の反応(開封状態やクリック状況)もkintone上で確認できるため、担当者はメール配信の効果をリアルタイムで把握し、次のアクションに迅速に反映させることができます。

これにより、メール配信の効果を最大化し、顧客満足度の向上につながるでしょう。

事例③:カスタマーコンパスとの連携

「カスタマーコンパス」は、kintoneの住所リストをもとにGoogle Mapにピンを立てて表示するプラグインです。住所情報を地図上に視覚的に表示することで、現場の状況を一目で把握できます。

たとえば、建設業においては、各現場の進捗状況を「施工待ち」や「完了」といったステータスで地図上に表示することで、効率的な現場管理が可能です。さらに、地図の活用で、訪問ルートの最適化も実現できます。

これにより、作業効率の向上とコスト削減を図ることができます。

事例④:請求書の自動作成

kintoneに登録された情報をもとに、自動的に請求書を作成するシステムとの連携も可能です。これにより、手作業での請求書作成の手間を省き、ミスを減らし、迅速な請求書発行が実現します。

まとめ

kintoneのAPI連携は、データの一元管理や作業効率の向上、入力ミスの削減など、多くのメリットをもたらします。異なるシステム間のデータ連携を円滑に行うことで、業務の見える化や迅速な意思決定が可能となり、業務改善につながります。

API連携の詳細や導入手順については、各連携ツールの公式ガイドを参考にするとよいでしょう。kintoneを導入する際には、API連携の活用をぜひ検討してみてください。

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