Kintoneは、業務の効率化や情報の一元管理に役立つクラウドサービスですが、導入に失敗する企業も少なくありません。原因として、目的に合わない機能選定、従業員への浸透不足、カスタマイズの難易度などが挙げられます。そこで本記事では、Kintoneの導入に失敗する理由や成功に導くための活用ポイントについて紹介します。
なぜKintoneは使えないと言われてしまうのか
Kintoneが使えないと言われてしまうことには、いくつかの理由があります。
まずはその理由について見ていきましょう。
社内への浸透不足や準備不足
どんなに優れた業務改善システムであっても、それがかえって社員の手間や負担となったり、準備期間がなく急いで日常業務に組み込まれなければならないということになると、使えないと感じられてしまうのは当然です。
Kintoneの導入は、単にシステムを設置するだけでは成功しません。システムの役割や、どの業務にどう活用するかを明確にし、全社的に周知徹底しない限り、その真価を発揮することは難しいでしょう。
現場の意見が反映されていない
Kintoneは、現場の業務に密接に関連したプロセス管理が求められるシステムであり、現場の声を無視して設計や運用をすると、「実際の業務に合わない」「使い勝手が悪い」といった不満が噴出します。
システムを導入した時点で満足するのではなく、現場のフィードバックを元に改善サイクルを作り、アプリを継続的に改良していく必要があるでしょう。
アプリの増加による管理の複雑化
Kintoneは手軽にカスタマイズ可能で、業務ごとにアプリを作成することが推奨されています。
しかし、使い方次第ではアプリが過剰に増えてしまい、どのアプリがどの業務に対応しているのか把握しきれなくなることがあります。
最初は単純なアプリから始めても、徐々にアプリの数や機能が膨れ上がると、管理が煩雑になり、結果的にどれを使っていいのかわからないといった状況を招くことがあるのです。
標準機能が限定的
Kintoneは、多くの企業で利用できるように基本的な機能が搭載されていますが、特定の業務やプロセスに対応するには、そのままでは不十分なこともあります。
たとえば、カスタマイズ性が豊富であるがゆえに、ユーザー自身で設定やプラグインの導入が必要になるケースが多いです。しかし、そのプラグイン導入にコストがかかることや、プラグイン同士が競合することでエラーが発生しやすくなる点が、導入のハードルとなることがあります。
また、プラグインの過剰使用によりシステムが複雑化し、結果的に使い勝手が悪化することも少なくありません。
容量が不足している
Kintoneは1ユーザーあたり5GBのデータ容量が標準で割り当てられていますが、これは大量のデータを扱う企業には十分ではありません。
その結果、容量がすぐにいっぱいになってしまい、追加費用をかけて容量を増やす必要が出てくることがあります。
また、Kintoneではデータがリアルタイムで更新される仕様ですが、データ量が増えるとその処理に時間がかかるようになり、更新や検索に遅延が生じることがあります。これが業務効率を低下させ、使い勝手が悪いと感じられる原因となっているのです。
サポート体制に対する不満
Kintoneの導入後、システムに不慣れなユーザーが使い方に困った際、利用できるサポートが十分ではないと感じるケースが少なくありません。
公式のマニュアルやガイドはあるものの、使い方が分かりにくい場合や特定の問題に直面した時に、迅速に解決できるチャットサポートや電話サポートが少ないため、相談しにくいという声が上がっています。
とくに、業務改善システムに慣れていない初心者にとっては、これが大きな障壁となり、使えないと感じる原因のひとつとなることが多いです。
Kintoneの活用ポイントとは
Kintoneの活用ポイントは、その多機能性と柔軟性にあります。
以下で4つのポイントを見ていきましょう。
業務アプリの作成と追加が容易である
業務アプリの作成と追加が容易な点が大きな魅力です。
Kintoneでは、顧客リストやタイムカードなどの業務に必要なアプリを、自社のニーズに合わせてカスタマイズできるため、各部門やプロジェクトごとに異なるワークフローに対応可能です。
28種類のパーツが用意されており、リッチテキストや日付、チェックボックス、計算機能などを組み合わせることで、複雑な業務プロセスでもスムーズに運用できるアプリケーションが作成できます。
このようなカスタマイズの自由度が、Kintoneを効率的な業務改善ツールとして活用できる理由のひとつです。
データ管理と集計機能
データ管理と集計機能の活用もポイントです。
従来、ExcelやPowerPoint、紙媒体で個別に管理されていたデータをKintoneに集約することで、一元管理が可能になります。これにより、データの変更や更新履歴もリアルタイムで追跡できるため、ミスの防止や修正がしやすくなるでしょう。
また、蓄積されたデータは簡単に集計・分析でき、一覧表示やグラフ化も可能です。この機能を活用することで、情報を探す手間を省き、業務の効率化を図れます。このようにデータを可視化することで、より的確な意思決定や業務改善につなげられる点も、Kintoneの強みです。
コミュニケーションツールとしての利用
コミュニケーションツールとしての利用が可能なことも重要な活用ポイントです。
Kintoneでは、プロジェクトに関連する資料やグラフなどの情報を社内外で共有でき、リアルタイムに近い形でコミュニケーションを取ることが可能です。
コメント機能を活用することで、タスクの進捗や案件のステータスを全員が把握できるため、個人に依存する作業を減らし、報告の遅れや伝達ミスを防止できます。
これにより、担当者不在時の業務停滞やリスクを軽減し、よりスムーズなプロジェクト進行が実現するでしょう。また、社外の関係者とも簡単に情報共有できるため、取引先や外部パートナーとの協力体制を強化することも可能です。
拡張機能の活用
Kintoneのさらなる特徴として、拡張機能の活用も忘れてはいけません。
JavaScriptやCSSを利用したカスタマイズ、そして外部サービスとのAPI連携が可能で、業務の自動化や効率化を実現できます。たとえば、特定の項目が選択された場合に別の項目が自動で入力されるといった動作を設定でき、手作業によるエラーを減らせます。
また、特定の必須項目が入力されていないと保存時にエラーを表示するなど、入力ミスを防ぐ工夫も簡単に実装できるでしょう。こうした拡張機能はプログラミングの知識がなくても簡単に利用できるため、業務の効率化に向けて積極的に活用することが推奨されます。
Kintone導入で失敗しないためには
Kintone導入で失敗しないためには、計画的かつ段階的なアプローチが必要です。
以下で失敗しないためのポイントとして6つのポイントを見ていきましょう。
システム運用の担当者を決めること
Kintoneはその柔軟なカスタマイズ性が魅力のひとつですが、カスタマイズの内容によってはプログラミングの知識が必要になる場合があります。
運用担当者が決まっていないと、複数の社員が勝手に設定を変更してしまい、システム全体が混乱するリスクがあるでしょう。そのため、誰がカスタマイズや設定変更を行うのかを明確にし、アクセス権を活用して操作できる範囲を制限することで、このリスクを回避できます。
現状の課題を明確にすること
Kintoneを導入しただけでは、すべての業務が自動的に改善されるわけではありません。
現場で抱えている具体的な問題を洗い出し、それらを解決するためにKintoneが適しているかどうかを見極める必要があります。また、課題をはっきりさせておくことで、システム導入後の失敗リスクも軽減され、導入効果を最大化できるでしょう。
業務フローの整理を行う
Kintoneは多様な業務アプリを簡単に作成できるため、導入初期には多くのアプリが乱立しがちです。
しかし、業務フローを事前にしっかり整理しておけば、本当に必要なアプリと不要なアプリを見極め、無駄なアプリの削減や統合が可能になります。
このプロセスは、一度設定したら終わりではなく、定期的にフィードバックや見直しを行いながら、実際の使用状況に応じて最適化していくことが重要です。
はじめから完璧を目指さないこと
Kintone導入後に現場から「この機能は必要ない」「別の管理方法が向いている」といったフィードバックが出ることが少なくありません。
はじめてシステムを導入する際には、すぐにすべてが理想通りに機能するわけではなく、運用を開始してから改善点が見えてくるのが一般的です。したがって、導入初期から完璧を目指すのではなく、段階的にフィードバックを取り入れながら改善していくことが重要です。
使ってからカスタマイズする
システム導入の初期段階では、管理者が必要と感じた機能を重視しがちですが、現場での運用に合わない場合もあります。
実際に業務で使用してみると、管理者が想定していなかった問題や、現場では不要な機能が発覚することが少なくありません。このような状況では、現場の声を積極的に取り入れ、適宜システムをカスタマイズしていくことで、使い勝手のよいアプリを作成できます。
現場のニーズに応じてカスタマイズを行うことで、業務の効率化が進み、現場の負担も軽減されるでしょう。
業種業務アプリパッケージを活用する
ゼロからアプリを作成しようとすると、外注する必要が出てくる場合もあり、結果的にコストが大幅に増加することがあります。
Kintoneの業種業務アプリパッケージは、こうした課題を解決するための有効な手段です。あらかじめ業務に合わせたテンプレートが用意されているため、初期の手間が少なく、導入のハードルが低くなります。
さらに、使い始めた後でも、自社の業務に合わせて必要な機能を追加できるため、柔軟に対応することが可能です。
まとめ
Kintoneは多機能で柔軟な業務管理ツールですが、導入や運用においては注意が必要です。使いこなせないと言われる原因には、社内への浸透不足や現場の意見が反映されないことが挙げられます。しかし、活用ポイントを押さえ、現場の声を取り入れて適宜カスタマイズを行うことで、業務効率化やデータ管理の一元化が実現可能です。導入時には、担当者の選定や現状の課題の明確化、業務フローの整理を徹底することで、成功への道が開かれるでしょう。
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引用元:https://www.r3it.com/services/kiminomahoro/kintone下記に該当する方におすすめ!
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