kintoneで自社独自のアプリを作ることは可能です。ドラッグ&ドロップで手軽にシステムを開発することができるkintoneに興味をもつ人は多いのではないでしょうか?そこで、この記事ではkintoneを使ったシステム開発の方法や開発例、自社で開発する際のポイントやプロに依頼する際の注意点などについて解説します。
目次
kintoneは自力で開発可能!
kintoneを使用してシステム(業務アプリ)を開発する最大の利点は、プログラミングやコーディングの専門知識がない人でも自ら開発できることです。
システムやアプリの開発には、kintoneに用意された必要なパーツをドラッグ&ドロップするだけで簡単に作成できます。さらに、開発が短期間で手軽に行えるだけでなく、できあがったシステムの改善や修正も簡単に行えるのです。
kintoneによる開発可能のメリット・デメリット
そのほかの大きなメリットとして、2つの点が挙げられます。まずひとつ目は、kintoneの公式サイトにて、アプリの開発方法が詳細に解説された画像付きマニュアルが提供されていることです。
ふたつ目は、部署や業種に特化した多数のサンプルアプリが無料で提供されていること。これらのサンプルアプリはそのままでも利用可能ですが、自社のニーズに合わせて設定やデザインを変更することも可能であり、非常に便利です。
kintoneを使ったシステム開発の方法
ここからは、kintoneを使ったシステム開発の方法を3つに分けて詳しく解説していきます。
イチから作る
ひとつ目は、kintoneのアプリ作成画面上で、好きなパーツをドラッグ&ドロップしてイチから作るという方法です。3つの方法の中で一番自由度が高いので、自社の業務に適した独自のアプリを作るのに向いています。
手持ちのCSVファイルやExcelを読みこむ
ふたつ目は、手持ちのCSVファイルやExcelを読みこんで作成するという方法です。この方法は、もともとあるCSVファイルやExcelのデータをアプリにしたい場合におすすめできます。
さらに、より自社の業務に適したシステムを開発したい場合には、JavaScriptやAPI、プラグインなどを活用しましょう。たとえば、JavaScriptを使ってコーディングすれば、アプリにより細かい設定や動作を組みこめるようになります。
プログラム同士を結びつけられるAPIを使用して基幹システムとExcelのデータなどを連携させれば、よりくわしいデータと紐づけることもできるのです。また、目的に合わせてプラグインを使えばアプリの機能を拡げることができます。
kintone内のプラグインには無料で試せるものもあるので、使い勝手をよくしたい場合には積極的に取り入れるとよいでしょう。
サンプルアプリを利用する
みっつ目は、100種類以上の無料サンプルアプリから必要なものを選んで利用するという方法です。この方法は、社内にイチからアプリを作れる人がいないという場合におすすめ。「業種から探す」「部署から探す」といった検索方法でさまざまなテンプレートが検索できるので用途に合わせて選んでみてください。
kintone開発を自社で行うメリット・デメリット
kintoneが必要になった場合、自社で開発することも可能ですが、スムーズに作業するにはメリット・デメリットを把握することが重要です。ここからは、kintone開発を自社で行う際のメリット・デメリットを解説します。
メリット
コストを抑えて開発できる
自社で開発する場合に必要となる経費は、社員に対する人件費のみで、基本的にそのほかの費用は発生しません。
一方で、外部業者に依頼した場合は、1件あたり5万〜30万円かかります。また、業者によっては月額料金が発生するケースもあるでしょう。
自社開発は、できるだけ費用を抑えたい方に適した方法といえます。
開発ノウハウの蓄積につながる
kintoneを開発するためには、それなりのノウハウが必要です。自社開発によって、システム開発に関するノウハウが蓄積され、継続的に開発を続けやすくなります。
システム開発に限らず、あらゆるノウハウは企業にとって貴重な財産です。蓄積されたノウハウを社内で共有できれば、システム開発担当者が変わってもスムーズに作業が進みます。
希望にマッチするシステムを開発できる
外部業者にkintoneの開発を依頼する場合、自社の希望が思うように伝わらず困るケースがあります。
一方で、自社開発であれば、社員が作業を担当するため、現状の課題や普段の業務内容を踏まえた開発が可能です。
デメリット
完成までに時間がかかる可能性がある
kintone開発は比較的簡単ですが、ある程度の専門用語やプログラミングに関する知識を有していたほうがスムーズです。そのため、システム開発に慣れていない社員が担当した場合は、完成までに時間がかかる可能性が高いでしょう。
システム開発に長けた人材が社内にいない場合や急ぎで開発をする必要がある場合は、外部業者に頼んだほうが賢明です。
カスタマイズする際は専門家に依頼する必要がある
基本的なkintone開発だけで間に合う場合は、自社で対応できる可能性があります。しかし、カスタマイズを要する場合や複雑なシステムを導入する場合は、専門スキルや知識が必要です。
とくに、kintone内で複数のアプリを一元管理したり、外部システムと連携したりする際は、専門家に依頼することをおすすめします。
コア業務に影響が出る可能性がある
kintone開発には手間や時間がかかるため、コア業務に影響が出る可能性があります。残業や時間外勤務する必要が出てくれば、開発担当者に大きな負担がかかるでしょう。
開発業務に注力できる人材を確保できればよいですが、コア業務の片手間に行うことになれば、中途半端な結果になる可能性も否めません。
また、新たにシステム担当者を採用する場合は、採用や人材育成にかかる費用が発生します。
kintoneを利用したシステム開発例
kintoneを利用したシステム開発の具体例をご紹介しましょう。以下に、アプリの作成方法と合わせて2つの例を挙げ、そのほかの便利なアプリについてもいくつかお教えします。
アンケートアプリ
まず最初に紹介するのはアンケートアプリです。顧客の満足度向上や業務の改善に役立つアンケートですが、紙媒体では作成や集計が手間がかかります。kintoneを使ってアンケートアプリを作成すれば、作成時間を短縮し、スムーズに集計することができるでしょう。
また、kintoneに登録されたアンケートの結果は、多彩なグラフ機能を活用して手軽にレポート化できるのも大きな魅力です。ただし、このアプリはkintoneのアカウントをもつユーザーしか利用できないため、不特定多数の人にアンケートを提供したい場合は、プラグインの導入や連携オプションを検討する必要があります。
名刺管理アプリ
次に紹介するのは名刺管理アプリです。既存の多くの会社から提供されている名刺管理ソフトは、利用人数や登録枚数に制限があったり、クラウドサービスを利用すると年会費や月額費用が発生することがデメリットとして挙げられます。
しかし、自社でアプリを作成すれば、これらの制限を解消し、コストを削減できるのです。さらに、名刺を受け取った際にアプリに登録すれば、会社内で情報をスムーズに共有できるという点もメリットといえます。
そのほかのアプリ
製造業では、検査成績管理パックや製品在庫管理パックがあります。卸売業・小売業では、作業依頼申請やサービスカウンター客注管理が便利です。情報通信業では、ソフトウェア開発管理やSE工数管理日報が役立ちます。
建設業では、外注先管理パックや建設作業日報パックがおすすめです。医療・福祉業では、入居者ケア管理パックや問診票が重宝されます。教育・学習支援業では、公欠届や就職内定報告が役に立つでしょう。
営業・セールスでは、顧客リストや案件管理が有効です。これらのアプリは、業種に合わせてさまざまなニーズに応えることができます。
kintoneのシステムを自社開発する際のポイント
kintoneのシステムを自社開発する際に考慮すべきポイントや注意点はいくつかあります。こちらでそれらを解説しましょう。
使用頻度が高く簡単な操作で使えるものから作る
まず最初に考慮すべきポイントは、利用頻度が高く、操作が簡単なアプリから開発することです。操作が複雑で使いづらいアプリを開発してしまうと、従業員の受け入れが難しくなり、kintoneシステム全体の浸透に影響をおよぼす可能性があります。
そのため、たとえばスケジュール管理など、多くの従業員が日常的に利用しやすいアプリから開発を始めることが重要です。さらに、アプリの開発には従業員のフィードバックを積極的に取り入れましょう。
完成後に修正を行うのではなく、開発過程で従業員の意見を取り入れながら進めることで、アプリの使いやすさや効果を向上させることができます。kintoneの修正が簡単であることを活かし、柔軟な開発スタイルを取り入れましょう。
成功した簡単なアプリの開発後は、顧客管理や在庫管理など、部署ごとに必要とされるアプリの開発に取り組むことをおすすめします。
データ構造を整理しながら作る
次のポイントは、データ構造を整理しながら作成することです。kintoneのデータ構造はExcelやほかのリレーショナルデータベースとは異なるため、データを移行する際には最適化が必要です。
データを最適化する際には、テーブルの使い方を検討し、適切な関連性をもたせましょう。その次に、ルックアップと関連レコードの使い分けを検討し、データの整合性を確保します。
最後に、各レコードのキー情報を適切に定義することで、データベースの効率性を向上させましょう。また、データの見やすさや使いやすさを考慮する場合は、ひとつのアプリにあまり多くのデータを詰め込まないようにすることも重要です。
プラグインは本当に必要なものを選定して使う
最後のポイントは、本当に必要なプラグインを選定して利用することです。プラグインはkintoneの標準機能を拡張するための優れたツールですが、過剰に多くのプラグインを導入すると、機能が重複したり相互に干渉してうまく機能しなくなる可能性があります。
必要な機能を確認し、それに合ったプラグインを選定することで、効果的なシステムを構築できるのです。
kintoneのシステムを外注する際のポイント
kintoneのシステムを外注する際は、以下の4つのポイントを押さえることが大切です。ここからは、それぞれのポイントについて解説します。
事前に開発環境を整備する
kintoneのカスタマイズには、開発者ライセンスが必要です。開発ライセンスとは、システムエンジニアがkintone APIを無料で試せる環境を指します。そのため、カスタマイズしたシステムの動作確認をするうえで不可欠です。
kintoneの開発ライセンスは、発行から1年間は無料で利用できます。無料期間終了後は、継続して料金が発生するので、外注をする直前に開発ライセンスを取得しておくとスムーズに作業が進められるでしょう。
相見積もりをとって相場を把握する
kintoneのシステム開発に対応した業者は多岐にわたります。
開発にかかる費用は業者によって異なるため、一概にはいえません。外注を検討している方は、複数社から相見積もりをとることをおすすめします。
それぞれの業者が提出した見積もりを比較すると、kintone開発の費用相場を把握しやすいでしょう。なお、見積もりを確認する際は、作業内容が細かく明記されていることに留意し、不明点があれば事前に問い合わせる必要があります。
機能やカスタマイズの内容を具体的に伝える
kintoneのシステム開発を依頼する際は、前もって必要な機能やカスタマイズ内容を具体的に検討しておきましょう。依頼する内容が曖昧だと、システム完成後にミスマッチが起こる可能性があります。
修正作業が発生すれば、その分、費用がかさむほか、完成までの時間が遅れる点もデメリットです。こうしたリスクを避けるためにも、依頼内容は明確にする必要があります。
実績豊富なシステム開発会社を選ぶ
システム開発会社によって実績はさまざまであり、依頼する際は実績の確認が大切です。そのうえで、自社が依頼する内容と類似した実績があり、対応した件数が豊富な業者を選ぶことをおすすめします。
費用面だけに意識を向け過ぎると、実績が乏しい可能性も否めません。知識やスキルがない業者に依頼すると、思うような仕上がりにならないおそれがあるため、充分注意して依頼しましょう。
アフターサポートがあるか確認する
アフターサポートが充実しているシステム開発会社を選ぶことも、kintoneを外注する際の重要なポイントです。
たとえば「システムの保守・運用に対応しているか」「変更・修正にかかる費用や無料サポート期間はどれくらいか」など、具体的なサポート内容を確認してから依頼しましょう。
細かく確認しておくと、万が一、システム完成後に不具合が発生したり、修正点が見つかったりしても安心です。
kintoneのシステム開発をプロに依頼する場合の注意点
自社で手軽にシステム開発ができるkintoneは、非常に便利なクラウドサービスです。ここからは、kintoneのシステム開発をプロに依頼する場合の注意点を3つ解説します。
契約内容をしっかり確認する
最初に、契約内容を充分に確認しましょう。システム開発に必要な料金は、企業やプロジェクトの要件によって大きく異なります。開発だけでなく、運用後のサポートや保守に関しても契約内容を明確にすることが重要です。
システム運用中に問題が生じた場合や、新たな機能や要望が発生した際にもスムーズに対応できるよう、契約内容をしっかり把握しておきましょう。
開発は共同で行うという意識をもつ
次に、開発はプロと自社が協力して進めることが重要です。開発を完全にプロに任せると、自社のニーズや要望を適切に反映するのが難しくなる場合があります。そのため、開発プロセスには積極的に参加し、両者が協力してプロジェクトを進めることが望ましいでしょう。
自社のスタッフが技術的な知識に不足している場合は、きめ細やかなヒアリングを行い、要望を正確に伝えられるパートナーを選ぶことが重要です。
開発環境を整える
最後に、kintoneのカスタマイズを依頼する際には、事前に適切な開発環境を整えることが重要です。kintoneをカスタマイズするには開発者ライセンスが必要なので、プロに依頼する前に適切なライセンスを取得しておくことをおすすめします。
kintoneの開発をプロに外注する場合、費用はどのくらい?
kintoneのアプリ開発をプロに外注する際の費用は、依頼内容の規模やカスタマイズの複雑さによって大きく異なります。一般的な目安として、10万円から100万円以上が想定されます。
1. シンプルなアプリ作成(10万〜30万円程度)
基本的な業務フローを持つシンプルなアプリの作成は、比較的低コストで依頼可能です。例えば、申請書やタスク管理などの単純なアプリの場合、10万〜30万円程度が一般的です。既存のサンプルアプリをベースに、入力フォームや基本的な集計機能を追加する内容がこれに該当します。
2. 中規模アプリの構築・カスタマイズ(30万〜80万円程度)
複数のアプリ間でのデータ連携や、プロセス管理機能を活用した業務フローを構築する場合、30万〜80万円程度の費用がかかります。例えば、「顧客管理アプリ」と「案件管理アプリ」を連携させ、リアルタイムで進捗状況を把握できる仕組みを作るケースがこれに該当します。このレベルでは、要件定義や設計に時間を要するため、費用が増加します。
3. 高度なカスタマイズや外部連携(80万〜100万円以上)
APIやプラグインを活用した高度なカスタマイズや、他のシステムとの連携を行う場合、費用は80万円を超えることが一般的です。例えば、会計ソフトやチャットツールとの自動データ連携、特定の業界に特化したアプリの設計などがこれに該当します。また、完全オリジナルの要件に基づくアプリ開発では、100万円を超えることもあります。
追加費用に注意
外注時には、アプリ開発費以外にも以下のような追加費用が発生する可能性があります。
- ・運用サポート費用:導入後の不具合対応や操作説明などのサポートにかかる費用。月額1万円〜数万円程度。
- ・保守・メンテナンス費用:アプリのアップデートや機能追加対応。年間10万円程度が目安。
また、打ち合わせの回数や、作成後の修正依頼が増えると追加費用が発生する場合もあります。そのため、開発予算をギリギリに設定せず、少し低めの費用帯を選ぶことで、想定外の出費によるミスマッチを防ぐことができます。
まとめ
自社でアプリを開発することで、人件費やコストを削減できるメリットがあります。kintoneは専門的なプログラミングの知識やスキルがなくても利用できるため、多くの企業が導入を検討しているのです。この記事では、kintoneを活用したシステム開発の方法や開発事例、自社で開発する際のポイントやプロに依頼する際の注意点などについて詳しく解説しました。自社での開発に取り組む際には、ポイントを押さえて段階的に進めることが重要です。一方、アプリの迅速な作成や複雑な操作が必要な場合には、外部の専門家に依頼しましょう。
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引用元:https://www.r3it.com/services/kiminomahoro/kintone下記に該当する方におすすめ!
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